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生きる権利と死ぬ権利

  1. 2010/08/30(月) 21:38:13|
  2. ★★|
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ジュンク堂大阪本店にて購入しました。
あまり中身を見ずにレジへ持っていったのですが、奥付を見ると「2000年6月5日新装版第1刷発行」とありました。
もう10年以上、本棚に並んでいたのかもしれません。

タイトルを見て安楽死についての議論がなされているものと期待していたのですが、実際はより広い医学についてのジレンマについて語った本です。
先進国と第三世界の間での医療格差、臓器移植、中絶、医療訴訟など…。
原書が1973年に出版されたということを考えると、この種の問題を提起した最初期の本なのかもしれません。

ただ、今読むと語りつくされた問題について、反論しようもない正論を大声でわめいているようにしか見えないというのも事実です。
しかも、文章がかなり回りくどく、結局何を言いたいのか、著者の意見はどうなのかが非常にわかりづらいです。
今になってわざわざ読むべき本ではないようにも思えますね…。

歴史的な意義はともかくとして、完全に時代遅れの一冊です。
無理に本書を読むよりも、もっと新しい本でよいものがありそうに思います。
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しゃべれどもしゃべれども

  1. 2010/08/22(日) 19:31:05|
  2. ★★★★★|
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佐藤多佳子の作品も、私にとっては初めてです。
本作については、映画化されたことだけは何となく耳に入っていましたが、あらすじなどは全くしりませんでした。
手元に読む本がなくなってしまったので、堂島地下センターの小さな本屋で急いで購入した一冊です。

半人前の落語家の下に、話し方の改善のために落語を学ぼうと集まった、4人の変わり者を中心とした物語です。
吃音を馬鹿にされてテニスのコーチができなくなった男性、恐ろしく無愛想な女性、学校でいじめられている気の強い小学生、解説がうまくできない元プロ野球選手…。
彼らの仲も決してよくなく、しかも落語家自身が自らの芸に迷っている最中で、人にコーチなどしている場合ではありません。
それでも、面倒見のよい落語家はついつい彼らの揉め事に首を突っ込み、状況の改善を試みます。

登場人物たちに共通するのは、みな言葉の持つ力をうまくコントロールできずに、もてあましてしまっていることです。
「言わなくても通じること」は確かにあるのでしょうが、実際のところ言わなきゃわからないことがこの世のほとんどを占めているものでして、しかもうまく言わなきゃ間違って伝わることも多々あります。
そんな中、言っても言わなくてもうまく意思疎通できないという、ダブルバインドにはまってしまった人々は、みな何らかのきっかけでそこから抜けるものなのでしょうが…。
本書の登場人物たちも、決して明るい未来が待っているわけではなさそうです。
それでも、多少なりとも言葉を使ってみようと思えるのはすばらしいことのように思います。

物語のあらすじ自体は、はっきり言ってしまえばたいしたものではありません。
それでも、舞台装置、登場人物、描写などがぴったり合っていて、すばらしくまとまった作品になっています。
それなりに長い話ではあるのですが、すらすらと一気に読める面白さを持っていると思います。
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きらきらひかる

  1. 2010/08/22(日) 19:07:55|
  2. ★★★★★|
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  4. コメント:2
私にとっては、初めての江國香織です。
前々から興味はあったのですが、読む機会なく…。

ホモセクシャルの夫と、情緒不安定な妻。
お互い気遣いあって暮らしているのですが、その間柄は決して通常の夫婦関係ではありません。
夫には昔から付き合っている恋人がいるのですが、妻はその恋人も含めて全てが気に入っていて、「みんな一緒」の生活を守ろうとします。
夫も妻もお互いがお互いを必要としながら、比較的常識人の夫と、自らの考えに基づき突拍子もないことを突然はじめる妻の間は、とても壊れやすく、だからこそ必死にその関係を大切にします。

あらすじを言葉で表現するとそれほど複雑ではないのですが、おのおのの登場人物の描写が本当に絶妙です。
それまでずっと遠慮がちだった夫が、妻と夫の愛人のいたずらに対して「上等だよ。全く上等だ」とひとりごつ場面は本当に美しいと思います。
決して希望にあふれた作品ではありませんが、私は楽しんで読めました。
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モジュール化―新しい産業アーキテクチャの本質

  1. 2010/08/22(日) 18:51:04|
  2. ★★★★|
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ジュンク堂のなんば店で購入しました。
モジュール化については、予備知識ほとんどゼロの状態で購入しました。
ぱらぱらと立ち読みしてみたのですが、何とか理解できそうな気がしたので…。

モジュール化というのは、一言で言うと「モジュールに分割して分業すること」です。
たとえば、本書でも挙げられているテレビゲーム業界を想像していただければわかりやすいでしょう。
今では、あるゲーム機(たとえばファミコン)に、いろんなゲームソフト(カセット)を装着して遊ぶというのは一般的です。
しかし、かつては一つのゲーム機で遊べるゲームは最初から内臓している一つ(または数個)のゲームのみでした。
ある時点から、ゲーム機メーカーは、そのゲーム機で遊ぶためのソフトを作るのに必要な仕様を外部に対して明らかにし、さまざまなソフトウェア会社の間で競争させるようになりました。
つまり、ゲーム機メーカーが定めた仕様(アーキテクチャ)を明らかにし、ソフト開発を分業(モジュール化)したのです。
ゲーム機メーカーは全てを内部でコントロールするのではなく、ソフトの中身についての大部分をソフトウェア会社の裁量にゆだねることにより、コアとなるアーキテクチャの開発に集中できる上に、良質なソフトが競争により生まれるようになりました。
本書では、ゲームソフト以外にもさまざまな例を用いて、モジュール化について解説しています。

「皆さん、モジュールの世界へようこそ」なんてキザなせりふで始まるのですが、決して初心者向けの本ではありません。
また、例としてあげられている半導体用露光装置については、これがどういった装置か全く解説もなしに本論に入ります。
私自身、以前読んだ「日本型プロセス産業」で多少なりともアーキテクチャとモジュールの考え方に慣れていたのと、半導体装置に就いて多少の知識があったので、たまたま最小限度の理解はできましたが…。

机上の空論のように思えたり、IT系にありがちな立身出世欲が鼻につく部分もありますが、私にとっては目新しい内容で面白く感じられました。
おそらく、批判も多そうな内容ですが、これをもとにいろんな議論がされているのでしょう。
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粉飾の論理

  1. 2010/08/15(日) 21:26:10|
  2. ★★★★★|
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ジュンク堂のなんば店で購入。
かつて、私は阪急京都線で通勤していたことがあるのですが、車窓からはカネボウと三菱自動車の看板が見える場所があります。
ちょうど時を同じくして不祥事で会社が傾いたので、何か妙な因縁のようなものを感じたものです。
カネボウのほうは結局会社が消滅したのに対して、三菱自動車のほうは復調気配にあり、その後の運命という点では対照的ですが…。

本書では、カネボウ、メディアリンクス、そしてライブドアの粉飾決算について、その経緯を独自の取材に基づいて述べています。
カネボウとその取引先である興洋染織の間で、在庫が簿価を保ったまま滞留し続けたために、時価に直した際に巨額の損失が発生した件については、歴代の経営者が責任を追及されず最後にババを引いたという典型例のように感じました。
しかも、彼らは彼らの内部の常識に凝り固まっているので、自分たちが悪いことをしたという意識すら無いようです。
時効をかなり長く取るとか、その資産を相続した者にも損害賠償請求ができるようにするなど、逃げぬけができないような仕組みがないとこういった事件はなくならないように思います。

メディアリンクス事件では、一度不正に手を染めると、ハイエナのような業者が次々群がってきて、社会から隠された薄暗い泥沼にはまる…本当に恐ろしいことです。
著者もあらかじめ断っているように、人間関係が複雑すぎて一読しただけでは全く理解しきれません。
それでも、底なし沼に引きずり込まれるような感覚は感じることができました。

読み物として、単純に面白いものだと思います。
構成もよく考えられており、読者が最大限理解しやすいようには配慮されていますが、時価と簿価の違いなど最低限の会計の知識は必要でしょう。
数年前の本ですが、いまでも十分読む価値のある一冊だと思います。
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エネルギー 3つの鍵―経済・技術・環境と2030年への展望

  1. 2010/08/15(日) 00:17:40|
  2. ★★★|
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ジュンク堂のなんば店にて、購入しました。
よく、エコロジーについての本では、「ゼロ成長でもいいからsustainableな社会を実現すればいい」なんて、無責任としか思えない意見を述べる人がいます。
投資と回収を基本とする現代の経済構造で、そんなことが可能なわけがありません。
本当にそう思うなら、どうすればゼロ成長でも円滑に経済活動が行えるか、その仕組みづくりの話からするべきだと思うのですが…。
(「ゼロ成長を目指す経済活動」という言葉自体が矛盾しているかもしれません。)

本書は大仰なタイトルではありますが、内容は比較的オーソドックスなエネルギー経済史です。
石油、石炭、原子力など、現代主流となっているエネルギーについて、利用初期から現代までの状況が、主に経済面から述べられています。
たとえば、石油についてはスタンダード・オイル社の設立から、セブン・シスターズの支配、OPECによる価格統制、そして石油ショック後の現代へと、順を追った記述がなされます。
「2030年への展望」という副題がついている割には、筆者の主張は簡単にしか触れられておらず、その内容をまとめますと
・原子力発電の即時廃止
・天然ガスの有効利用
・石炭の高効率利用の促進
・新エネルギーの研究成果についての楽観的な期待
というものです。
どれも目新しい主張ではなく、原発を除いては反対する人も少ないないように思います。
(「期待」に対しては、反論したところで解決策がないのですが…)
ただ、個人的には原発の危険性はわかるものの、現状において最も二酸化炭素の排出量を抑えることが出来る原発に代替する技術がない以上、使用もやむをえないように思うのですが…。
また、新エネルギーに対しては私自身はあまり期待をしていないので、将来的には原子力エネルギーの比率がさらに大きくなるように予想しています。

著者は、もともと水溶液に関する物理の専門家でして、経済や科学史についてはどうやら独学に近いかたちで学んだようです。
畑違いの人が定年後にこういった本を書くと、たまに本当に期待はずれのものが出来上がったりもしますが、本書は少なくともそこまで破綻したものではありません。
むしろ、あまりにオーソドックスで教科書的なので、著者紹介を読まないと彼がもとは物理学者だという事実に気づかないくらいです。
(理系の人が得意とするはずの、グラフの見せ方に対する配慮がほとんど見られないという点においては、「悪い意味で」その分野に染まっているように思います。)
ただ、タイトルを見てそれなりに「とんがった」本を期待する人にとっては、肩透かしではあるでしょう。
バイオマスエネルギーについてほとんど触れられていない点も不満足ですが、これは本書が1996年に出版されたということを考えると、仕方のないところかもしれません。
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フンボルト―地球学の開祖

  1. 2010/08/13(金) 00:18:58|
  2. ★★★★|
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ジュンク堂の大阪本店で、フェアのコーナーに並んでいたのを購入しました。
いったい何のフェアだったのかはよくわかりませんでしたが…。
フンボルトについては、フンボルトペンギンとフンボルト海流で聞いたことがあるくらいの知識しかありません。

今となっては学問は極度に細分化されており、多分野にまたがった専門家はめったに見ることが出来ません。
しかも、どの分野もそれなりに研究が進んでいるので、先人の業績を学ぶためには長い修行期間が必要で、若いうちに大きな成果をあげるのは至難の業です。
しかし、かつては学者といえばすべての分野に通暁しているのが当然でして、デカルト、ライプニッツ、ニュートンなどの時代には、数学も文学も比較的未分化の状態にあったようです。
とはいえ、とくに自然科学の分野で現在のような、試行錯誤に基づく実証という手法が確立したのはかなりあとのことで、それまでは古典テクストを解釈することで物理学上の問題にも立ち向かおうとしていたようですが…。
(「クロード・ベルナール文選集」などを読むと、そのあたりの生の声を知ることが出来ます。)

フンボルトは、上記のようなゼネラリスト的な学者から、スペシャリスト的な学者へのちょうど転換期に活躍した地理学者です。
彼の時代以降、熱力学の法則が発見されたり、産業革命が始まったりして、現代的な学問の形へとシフトすることとなります。
フンボルト自身は文学、芸術部門にはほとんど興味を示さなかったようですが、天文学から経済、政治、生物学、地理学ととても広い範囲の学問を、猛烈なエネルギーで吸収し、晩年までその成果を執筆し続けます。
彼をもっとも有名にした南アメリカ大陸の探検紀行においては、事故による死の危険や風土病にも悩まされながら、大量の観測結果と標本とともに帰国をはたし、とくに現代地理学の基礎を築きました。

本書を読んでいてもっとも強く感じるのは、彼が研究を進めるための体制作りにいかに苦労したかです。
金策に始まり、探検の許可を得たり、庇護者を見つけてスパイ扱いされないように手配したり、共同研究するに値する在野の研究者を見つけ出したり…。
よく、子供向けの伝記には、発明家が研究だけしていたような記述がなされたりもしますが、本当に大変なのはこういった研究の前準備のように思います。
このあたりを誤解すると、ステレオタイプ的な「人付き合いが苦手だけれども誠実な研究者」像が広まり、ずれた認識がなされるもととなるようにも思うのですが…。

それなりに長い本なので、読むには多少の気力が必要ですが、文章自体はわかりやすいのですらすら理解できると思います。
巻末の解説(フンボルトと日本)は、趣味で書いているレベルであまり読む価値はないと思いますが、本編は充分楽しんで読めるでしょう。
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戦争と平和の間―紛争勃発後のアフリカと国際社会

  1. 2010/08/12(木) 00:02:55|
  2. ★★★★★|
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アジア経済研究所の研究双書です。
ちょっと前まではソフトカバーのものが出版されていたのですが、最近はハードカバーに変わってしまったようで残念です。
ソフトカバーのほうが持ち歩きの点でも読みやすさの点でも勝っていたのですが…。

本書では、アフリカにおける紛争後の秩序形成について、実例を挙げて述べています。
コンゴ民主共和国、ルワンダ、シエラレオネ、モザンビーク…。
多くの事例について言えるのは、紛争時には一般市民が各派閥に所属して戦闘やその支援などを行った経験を持つために、戦闘停止後も同じ土地に住むもの同士にわだかまり、敵意が残ることです。
戦争では兵士たちが戦い、一般市民はそれを傍観するというというイメージをもたれる方も多いかもしれませんが、内戦では必ずしも兵士と市民の区別は明確ではなく、市民も拉致や強制によって兵士とならざるを得ないことも多々あります。
脅迫されてやむを得ず殺人を行ったものをどう扱い、市民同士の敵意をどう解消するかというのは、今でもはっきりした解決法のない難しい問題のようです。
一つだけいえるのは、一般市民が参加できるような自由選挙が、必ずしもよい解決策とは限らないということです。
和解が不十分な状態で選挙を実施してしまうと、かつての紛争主体同士の派閥が再固定されてしまい、市民同士の敵意が再発することがしばしば見られるようです。
私が小学生の頃には、民主主義は万能の政治体制であるというようなことを学んだ記憶がありますが、これ自体が西洋民主主義による偏光フィルターのかかった物の見方なのですね…。

全体的に文章もわかりやすく、注も充実していてすらすら読むことが出来ると思います。
予備知識がなくても理解できるので、専門家以外でも興味があれば読んでみることをおすすめいたします。
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パタゴニア / 老いぼれグリンゴ

  1. 2010/08/09(月) 23:32:31|
  2. ★★★|
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順番に読んでいる池澤夏樹の文学全集シリーズです。
「パタゴニア」のほうは単行本で以前に読んだことがありましたが、いまいちしっくり読めなかった覚えがあります。
「老いぼれグリンゴ」のほうは、著者も含めて完全に初見です。

たまに装丁や腰巻の宣伝文で台無しになる本が存在します。
後宮小説」もその一例でして、裏表紙の紹介文に物語の後半部分までネタばれがされていて、よく出版社の方はこれにOKを出したものだと思いました。
「パタゴニア」はこれとは別の意味で、宣伝文が本の価値を損なっているように思います。
以前読んだ単行本でも本書でも、「パタゴニア」のことを「紀行文学」として扱い、腰巻にはその旨が記載されています。
たしかに著者はパタゴニアを旅した経験を活かして本書を作り上げてはいますが、どちらかといえばパタゴニアにゆかりの人物を紹介した文章のほうが多く、一般的な紀行文を期待すると、肩透かしになるように思います。
私自身、以前読んだときには、現在のパタゴニアについての記述が余りにも薄く、だまされたという印象を受けてしまった覚えがあります。
むしろ、パタゴニアという土地を題材とした奇譚集であると、正直に紹介したほうがよいのではないでしょうか?
内容自体は…ほら話に近いものも多く、日本で言う今昔物語に近いものを感じました。
一つ一つの話は安定して面白いのでしょうが、全体的に小粒にも思います。

「老いぼれグリンゴ」は、メキシコで消息を絶った老人アンブローズ・ビアスの物語です。
ビアスは「悪魔の辞典」くらいしか読んだことがありませんが、あまり私とは相性がよくないように感じたのを覚えています。
本作は、ビアスとメキシコ革命軍の若き自称「将軍」、アメリカからきた女家庭教師、「将軍」の妻による、革命戦争の物語です。
とても装飾的な文章で、時間や人称は不定期に入れ替わり、集中して読まないと物語においていかれそうになります。
頭のいい(教養のある)人ががんばって芸術的な文章を作り上げたものなのでしょうが、個人的には無理に凝りすぎた作品のようにも感じてしまいました。
役者がいちいち大げさに動き回る舞台を見せられているようにも思えてしまい…。

どちらも芸術的な価値はともかくとしても、娯楽として読むにはしんどいように感じました。
注が充実しているとはいえ、「パタゴニア」のほうは必要とされる予備知識も多く、高い教養を持つ人向けの一冊であるようにも思います。
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後宮小説

  1. 2010/08/04(水) 23:46:10|
  2. ★★★|
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酒見賢一については、本当に名前すら聞いたことがありませんでした。
本作は、「雲のように風のように」というタイトルでアニメ化されたそうですが、全く記憶にありません。
同一作者の「陋巷に在り」のほうは、ぼんやりと聞いたことはあるのですが…。

本書の舞台は、架空の中国王朝である素乾国。
皇帝の後宮に入るために、田舎から都に上ってきた少女銀河の物語です。
後宮に入る前に後宮学のようなものを学ばされるところから始まり、外界のものには想像もつかないような奇妙な世界が、後宮内には広がっていますが、反乱によりこの閉じた場所もついには崩壊します。
事件自体はドラマチックなものですが、比較的淡々とした筆遣いで、彼女たちの行動が物語られます。

第一回ファンタジーノベル大賞受賞作とのことですが、一般的なファンタジーのイメージからはかなりかけ離れたものです。
ゆるやかな文章からは、環境に翻弄される人間たちの、ぼんやりとした悲しさ、はかなさが伝わってくるように感じました。
ただ、文庫本の裏表紙に記されてある紹介文で、いきなり物語の最後近くのネタばれがあるのはいかがなものかと思いましたが…。

とくに大きな盛り上がりもないまま終わってしまった印象ですが、それでもじんわりとくる後味が残ります。
また、将来に読み返してみると、印象が変わるのかもしれません。
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現代アメリカ写真を読む―デモクラシーの眺望

  1. 2010/08/02(月) 00:51:57|
  2. ★★★★|
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ジュンク堂のなんば店にて購入。
私はかつて、中学生、高校生時代に写真部に所属していたのですが、ほとんど写真の勉強をしないまま遊んで終わってしまいました。
あれほどいろんな装置を自由に使える環境にあったのだから、もう少しまじめに写真に打ち込めばよかったと思うこともあるのですが、当時は勉強したり遊んだりそれなりに忙しかったので、仕方ないですね…。
いまでも写真には興味はあるのですが、自分で撮るほうはとんとご無沙汰です。

本書のタイトルには「デモクラシーの眺望」とありますが、私自身が読んだ限りにおいては、あまり「デモクラシー」を意識しすぎないで手にとるほうがよいように思います。
基本的には、写真が使われるようになった19世紀末ごろからのアメリカの世情について、それぞれの時代の代表的な写真家の作品を元に述べていく、といった内容だと感じました。
西部の自然を賛美した19世紀末〜20世紀初頭、「普通の人々」の生活を賛美した1930〜60年代、かつて賛美された郊外の生活における理想が崩壊した1960年代以降、そして、同時多発テロ…。
本書の中では、スーザン・ソンタグの「撮影することは重要性を授けることである」という言葉がたびたび引用されますが、まさに各時代において何が重要とされてきたかを写真は表しています。
その意味においては、本書は単なる芸術について述べているのではなく、むしろ社会史一般についての本だともいえるでしょう。

本書には面白い部分も多いのですが、個人的には内容に対して使われる単語が過剰に晦渋なために、不必要なほど理解しづらくなっているようにも感じました。
文章はやや装飾的で、それなりに読解力の高い人でなければ、いいたいことがあまりしっくりわからないまま終わることもあるでしょう。
私自身、完全に本書の内容を理解できたかどうかには自信がありません。
もうちょっと素直な言葉遣いで、わかりやすくもできたはずのように思うのですが…。

写真のみならず、アメリカ社会の文化一般に興味ある方にお奨めの一冊です。
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