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すべての民族の子

  1. 2011/09/25(日) 21:28:39|
  2. ★★★★★|
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以前読んだ「人間の大地」に続く、ブル島四部作の二作目です。
ジュンク堂の大阪本店にて購入しました。

「人間の大地」が、県知事の息子として生まれたインドネシアのエリート現地人ミンケによる、ヨーロッパ人との戦いの始まりを描いたものだとしたら、本作はミンケの目覚めを描いたものでしょう。
ミンケはヨーロッパ流の教育を受け、現地人であるにもかかわらず多くの民衆生活の実態をしらないまま育ったのですが、産まれて初めて農民と触れあうことにより彼等が受けてきた理不尽な弾圧を知ります。
そして、数人の活動家との交流により、ミンケはヨーロッパ至上主義から脱却して、インドネシアの国民主義を打ち立てるべく、運動を開始します。

当時、アジア人としては初めて列強に名を連ね、清国を侵食した日本は、希望と恐怖の両面から描かれています。
アジア人が科学力でヨーロッパ人と互角に戦うことができることを証明した反面、アジア人同士だからといって決して安心できる存在ではなかったからです。
政治犯として流刑に処されていた著者らしい作品とも言えるでしょう。

ストーリーは完全に前作からの継続なので、まずは先に「人間の大地」を読むほうがよいでしょう。
ただ、深刻一辺倒の作品ではなく、めまぐるしい展開で読者を空きさせない工夫もなされており、娯楽性とメッセージ性を兼ね備えたものだと思います。
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獲物の分け前

  1. 2011/09/21(水) 21:31:03|
  2. ★★★★★|
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ジュンク堂の大阪本店にて購入しました。
ルーゴン家の誕生」に続く、ルーゴン・マッカール叢書の2作目です。

前作で、ナポレオン派によるクーデタをきっかけに南仏の地方都市で収税吏のポストを得たピエール・ルーゴンですが、その息子のウージェーヌとアリスティドはパリで立身のきっかけを窺っていました。
本作の主人公は、このアリスティドです。
兄のコネで道路管理局の役人となったアリスティドは、パリ市内の開発ブームに乗って、職権を大いに利用した土地取引を通じて財産を築きました。
その際に必要であった元手を調達するために、妻子もちの男性に暴行されて子供を宿してしまった名家の娘ルネと結婚します。
本書においては、ルネがアリスティドと、その前妻との間に生まれた子マクシムの二人からすべてを奪われるさまが描かれます。

ルネは贅沢な夜会に耽る毎日を過ごすうちに、夫の子であるマクシムとの不倫関係に陥ります。
贅沢の限りを尽くした自宅温室で義理の息子と逢瀬を重ねるうちに、ルネは徐々に常軌を逸した行動をとるようになり、身の破滅を迎え入れるのです。
たびたび由緒正しい貴族の子女としての、幸せだった少女時代を回想しますが、もはやその頃に戻ることはかないません。
アリスティドも危うい投機をくりかえすうちに、表面上は豪勢ながらも内情はいつ破産してもおかしくない状態をくりかえすようになります。
狂乱状態とも言える社交界の空しさが印象的な物語です。

翻訳がよいのかもしれませんが、とても読みやすいと思います。
登場人物の心情を表すために、情景描写が効果的に使われておりまして、たとえば前述の温室に咲き乱れる植物たちはルネの狂おしい愛欲に関連付けられています。
やはり、「ルーゴン家の誕生」を先に読んだほうが、アリスティドの人となりがわかるのでよいと思います。
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日本経済の発展と企業集団

  1. 2011/09/17(土) 20:37:05|
  2. ★★★★|
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amazonのマーケットプレースにて購入しました。
先ごろ読んだ「関西系総合商社」と同様、「日本流通史」にて参考文献として挙げられていた一冊です。

「企業集団」という単語から、私はたくさんの取引企業が有機的につながりあっているという、単純かつ漠然としたイメージを持っていました。
しかし、本書においては「企業集団」と言う単語は、旧財閥系のグループ企業をさす言葉のようです。
日本においては、三井、三菱、住友が三大財閥として有名ですが、それ以外にも安田財閥に由来する芙蓉グループや古河財閥、日立・日産系の日産コンツェルンなどが企業グループとして残っています。
わたしもかつて学生時代に就職活動をするにあたって、日本の色々な企業について調べたりもしたのですが、この企業グループというものの実態がいまいちつかめなかったのを覚えています。
たとえば、三菱重工業と三菱電機は、どちらも同じ三菱グループ内の主要企業なのですが、エアコンなどの製品においてお互いに競合関係にあります。
同一グループ内でも、必ずしも協力関係を保つだけではない程度には遠心力が働いているようには見えるのですが、そのわりには企業パンフレットを見ると妙に源流の「三菱」にこだわったり…。
結局のところは、そのあたりをあまり突き詰めなくても就職活動には影響しなかったのもあって、そのまま疑問を放置してしまったまま今に至ります。

本書では、7人の執筆者によって、明治期以降の財閥の成り立ちからその性質の移り変わりが述べられています。
基本的には上記三大財閥を中心とした記述が続くのですが、それ以外の現在は完全に消滅した財閥系についても扱われています。
執筆者が複数存在することにより、これまで全く説明されなかったり、途中で名称が変更になったりした企業グループ(たとえば「渋沢財閥」→「第一銀行グループ」など)が突然現れるので、たまに戸惑うことがありますが…。
内容はとても専門的でして、私のような素人が気軽に読んでも完全に理解することは困難だと思います。
それでも、各財閥系企業グループの性質の違いなどについて興味がある方には、お薦めできる内容でしょう。
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アフリカ人の覚醒―タンガニーカ民族主義の形成

  1. 2011/09/05(月) 01:13:51|
  2. ★★★|
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阿倍野にあるアポロビル地下の古本屋さんで購入。

タンザニアといえば、ウジャマー社会主義の失敗が連想されます。
これは、ウジャマーと呼ばれる人工の農業共同体(村)を単位とした一種の統制経済であり、多民族が混在したタンザニアにおいて国家意識を育成することも目的のひとつでした。
しかし、強制移住などの施策に対する農民の反発などから、ウジャマーの建設はあまりうまくいかず挫折したようです。
ただ、その割には、スワヒリ語という共通語が広く通用するなどの優位点もあり、タンザニアはサブサハラのアフリカの中では比較的安定しているそうです。
私自身、なんどか本屋さんでタンザニアについての書籍をみつけたことはあるのですが、かなり高価だったりして今までちゃんと読んだことはありません。
本書も定価は一万円近くするのですが、古書店で比較的安く入手できたので、たまたま購入したのです。

本書では、タンガニーカ独立の原動力となったタンガニーカ・アフリカ人民族同盟(TANU)の成立過程について詳細に述べられます。
今となっては十分に資料も残っていない状態ですが、その中からもわずかな手がかりを元にしてどういった事実があったかを丹念に解きほぐしています。
とはいえ、あまりにもマニアックなことがら、固有名詞の羅列が続くので、私のような素人が読んで面白い内容かといわれると、相当疑問ですが…。
専門家にとっての資料的価値は大変高いのでしょうが、一般の人が通読するようなものではないのかもしれません。

小さな古本屋さんだったので、あまり立ち読みもせずに購入したのですが、扱われる時代がTANU成立直後くらいまででして、上記のウジャマー社会主義については全く知ることができなかったのは計算外でした。
本自体の価値とは別に、私のニーズにはあまり合致しなかった一冊です。
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少年キム

  1. 2011/09/04(日) 21:31:37|
  2. ★★★★|
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  4. コメント:0
ジュンク堂の大阪本店にて購入しました。
キプリングについては名前を聞いたことがある程度で、ほとんど予備知識なしの状態でした。

本書の舞台は19世紀後半、イギリス統治下のインド(今でいうパキスタンも含まれますが)です。
元アイルランド軍人の子供として産まれた少年キムは、父親と死に別れた後、現地人に完全に溶け込んだ少年時代を送ります。
ある日、釈尊が放った矢から湧き出た聖なる河を探すために巡礼の旅を続けるラマ僧と出会ったキムは、興味本位からラマ僧の弟子として彼に付き従うことにしました。
その後、たまたまイギリスとロシアのスパイ合戦にかかわるようになったキムは、インドを旅しつつさまざまな人と出会う…という物語です。

植民地下インドといえば、どうしても「インドへの道」を連想してしまいます。
当時のインドの原住民からは、私の知る限りにおいては少なくとも邦訳されるような小説の書き手は現れなかったようなので、イギリス側の視点から見た物語しか見たことがありません。
そんななか「インドへの道」では、産まれの違うお互いが理解はできても共感はできない一線が見事に表現されているように感じたのを思い出します。

一方、本書の主人公は白人の血を引くとはいえ、基本的な育ちはインドの現地人です。
また、登場人物も低位カーストのヒンディーやイスラム教徒、そしてイギリス人スパイなどそのバックグラウンドはバラエティに富んでいます。
はたして描写されているような光景が的確なのか、それとも非現実的なのかは私にはよくわかりませんが、納得して読ませられるだけの表現の力といったものは感じました。
また、折々に挿入されるインドの光景についての文章は本当に美しく、キムのインドへの愛着を感じさせられます。

解説など読むと、キプリングの政治的立場などが本書から読み取れるようなことも書いてありましたが、そんな難しいことを考えずに単純に物語として読むのがよいように思います。
ただ、当時の時代背景がわからないと面白さも半減するので、先に解説を読んだほうがいいでしょうが…。
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