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自爆する若者たち―人口学が警告する驚愕の未来

  1. 2009/05/20(水) 00:08:01|
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  3. トラックバック:1|
  4. コメント:0
私には珍しく、他の方の読書感想を読んでamazonにて購入しました。

私の頭の中には昔から、戦争や虐殺がなぜ起きるのか、という疑問がずっと居座っています。
というよりは、どういうときに人は、自ら進んで人を殺そうとするのか、といったほうが正確かもしれません。
この疑問は、平和主義的な思想から来ているものではなく、どちらかといえば興味本位なものです。
(もちろん、騒乱が起きるよりは平和であるにこしたことがないのは、当然ですが。)

人が人を殺すことは、相当な体力と精神力を消耗することだと思います。
また、たとえ人を殺すことに全く罪悪感を感じなかったとしても、殺される側の抵抗や報復から身を守ろうとすると、殺す側も相当なコストを負うことになるでしょう。
それにもかかわらず、これまで起きた戦争では、多くの兵士は徴兵されたわけではなく、志願して戦場へ赴いてきました。
他人を殺す場に自らを投じ、場合によっては自分の命を進んで投げ出すようなところにまで人を駆り立てるものは、果たして何なのでしょうか?

国際紛争」では、ペルシア戦争の時代からの紛争の大きな原因として、何を考えているかわからない者を相手にしたときの不安感が述べられています。
これは、個人的にはかなりの部分において、現実を説明できているような気がします。
例えば、日本が太平洋戦争に参戦した理由の一つを、西欧列強に食い物にされる不安とすることは可能でしょう。
しかし、だからといって、あれほど無謀な戦争に、国を挙げて熱狂的に突入してしまった原因を、全て説明できるような気もしません。

また、「大量虐殺の社会史」では、ルワンダにおけるジェノサイドの原因の一つとして、植民地時代から続く民族間の経済、身分格差を挙げています。
ルワンダの旧宗主国であるドイツとベルギーは、少数民族のツチ族を支配民族として優遇し、多数派のフツ族を差別しました。
これによって、フツ族内部には不満が長期間にわたって鬱積し、ついにはツチ族の虐殺につながったというものです。
これもかなり良い説明だと思うのですが、それならなぜ長年差別され続けているインドの下層カーストに属する人々が、内乱を起こさないのでしょうか?
また、なぜもっと前でもあとでもなく、1990年代前半のあの時期にルワンダの大量虐殺は発生したのでしょうか?
完全な理論はありえないといいつつも、やはり上記の議論だけでは説明しつくせないところがあるように思います。

また、「文明の衝突」では、文明間の根本的な価値観の違いが国際的な戦争の原因とされています。
しかし、これではほぼ同化していたルワンダの部族間対立は説明できないように思います。
確かに、当人同士にしか分からない違いがツチ族とフツ族の間にはあったのでしょうが、これを「文明の衝突」といってしまうと、全ての人間同士が違う文明を持つことになりかねません。

本書では、社会や政情の不安定の第一原因として、「ユースバルジ」つまりは若者世代があまりにも多い人口構成にあるとしています。
一組の両親から平均して7人も8人も子供が生まれるような社会では、成人後の彼らに与えることのできる、十分なポスト、財産は存在しません。
そこに、民族主義、宗教、労働運動、その他なんでもよいのですが、何らかの建前を用いて多すぎる若者を扇動できるような人物が現れたときに、一気に暴力的な状況が発生してしまうというものです。
子供が多いとそれだけ、野心と怒りにあふれた若者を大量に戦争に供給できることにもつながります。
著者は、ユースバルジによる暴力の例として、古くはコンキスタドールによる新大陸での文明破壊から、旧日本軍による虐殺、最近ではアルカイダによる自爆テロをあげて説明していますが、説得力のある内容だと思います。
なお、本書の表によると、本日、内戦の終結宣言がなされたスリランカでは、出生率の低下により15歳未満が人口に占める割合が26%にまで低下しているそうです(イラクでは41%)。

正直言って全く聞いたことのない著者でしたが、翻訳も読みやすくこういった問題に興味のある方には強くお奨めします。
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自爆する若者たち―人口学が警告する驚愕の未来

自爆する若者たち―人口学が警告する驚愕の未来 (新潮選書)作者: グナル ハインゾーン出版社/メーカー: 新潮社発売日: 2008/12メディア: 単行本 これは非常に衝撃的なものの見方を知ることの出来る本である。 戦争・内戦が起こるのは何故か? それは、若者の男が多い国では、ポストが足りずに無謀な試みに突き進む者が増えるからである。
  1. 2009/12/26(土) 23:25:27 |
  2. 本読みの記録

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