容量2GB!アクセス解析&動画ファイルも可能な無料ブログ。アフィリエイト完全対応。
  最新画像一覧   /    おもしろブログが満載! シャッフル ブログ  /     無料登録  

ガン病棟

  1. 2013/01/05(土) 19:17:05|
  2. ★★★★★|
  3. トラックバック:0|
  4. コメント:0
前々から読んでみたいと思っていた本です。
ロシア民族紀行」で参考文献として挙げられており、よいきっかけだと思って購入しました。

もう10年以上前に見た「病院で死ぬということ」という映画を思い出します。
末期がん患者用ホスピスで勤務する医者が、末期の大腸ガンを患う男と末期の肺ガンを患う妻など、多くの患者と出会う物語です。
ベッドに寝る患者とそのそばにいる医者や家族という構図が、終始固定されていたのが印象的でした。
個人的には大好きな映画なのですが、残念ながら知名度はとても低くてDVD化されていないようです。

本書は「病院で死ぬということ」と同様、ガン患者を収容する病院を舞台としたものですが、内容は大きく異なります。
「病院で死ぬということ」では医者は傍観者であくまでも患者が主役でしたが、本書では医者もその物語から逃れることができません。
X線による診断と治療を専門とする女医は自らの胃がんの兆候を発見して「治療する側」から「治療される側」へ転落しますし、毎日の業務に追われて結婚適齢期を逃しつつあるもう一人の女医は自宅で寂しさとともに眠ります。
また、背景として1956年のフルシチョフのスターリン批判を含む一連の政変が描かれており、その意味においては政治小説ともいえる内容です。
本書は当局により発禁処分を受けており、翻訳当時の昭和46年にはソ連では事実上入手不可能な状態だったようです。

現在では外科手術が発達しておりガンの治癒率も上がっているのですが、本書の舞台である1950年代半ばのアルアマタでは、臓器を丸ごと切除するか放射線をめくらめっぽうあてるくらいしか対処法はありませんでした。
大部屋の病室では政府官僚から徒刑囚までさまざまな階級の人がいっしょくたに扱われます。
この時点で外界における出自をいったんはぎ取られた状態になるのですが、その後体が弱るにつれて理性も削られた一個の生命体とまで縮小してしまいます。
権力、体力、魅力、知力、そういったかつては大きな武器となったものがすべて空しくなるようです。
あるものは一時回復して退院してかつての自分を取り戻すのですが、それでも遠からぬうちに帰ってくる運命にあるのでしょう。

それなりに長大な物語ですが、ほとんど一気に読んでしまいました。
愛称、苗字、名前などが入り乱れて人名がわかりにくいですが、そこさえ整理できればとても面白い作品だと思いました。

<<  満洲の光と影  |  ホーム  |  本当の戦争の話をしよう  >>

コメント

コメントの投稿

管理者にだけ表示を許可する

画像の文字を半角数字で下記ボックスに記入ください。
文字が読みにくい場合はブラウザの更新をすると新しい文字列が表示されます。

トラックバック

トラックバックURLはこちら
http://mietzsche.dtiblog.com/tb.php/480-40ce2f48

DTIブログって?