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生物から見た世界

  1. 2013/08/04(日) 18:48:13|
  2. ★★★★|
  3. トラックバック:0|
  4. コメント:0
京都の元お風呂屋さんで開催された古本市で購入したものです。
私が購入したのは1973年に発行されたハードカバーのものですが、調べてみたところ、岩波文庫版が今でも現役で出版されているのですね。
もともと本書を発行していた思索社は一度倒産して、いまでは新思索社として再出発を果たしています。
以前読んだ「侵略の生態学」など、古典的な生態学に関する本に強い出版社でした。

本書に収められているのは、ユクスキュルの代表作ともいえる「動物と人間の環境世界への散歩」(1934年)と「意味の理論」(1940年)の全訳です。
従来の文献渉猟型の学問ではなく、実験による実証に重きを置くべきだと強く主張した「クロード・ベルナール」の時代から半世紀あまり。
本書に示されるのは、人間を含めた動物が世界をどのように認識するかを実験を元にして証明した記録です。

例えば、鳥が自分のひなを命をかけて守る行動などを、子供に対する愛情だといった風に、動物を擬人化してとらえることがあります。
しかし、実際は托卵や刷り込みなどで知られるように、鳥は単純にあるコード化された記号にしたがって動いているに過ぎません。
著者は、時間や空間が、人間が認識するのとはまったく別の様相を持って他の生物に現れていることを主張します。
例えば、ダニにとっての世界のは、哺乳類から発散される酪酸、哺乳類の皮膚の熱、そしてその体毛のみです。
それ以外の刺激はダニには全く感じ取られません。
コクマルガラスにとっては、静止している昆虫は全く視界に入らず、昆虫が動いた瞬間に認識が可能になります。
一方で、蛾にとって唯一の聴覚範囲であるコウモリの発する超音波は、人間にはまったく聞えません。
このように、外部から生物に与えられる物(著者は「エーテル」と表現します)が同一であっても、個々の動物によってその世界の様相は全く異なったものとなります。
そして、
生命を有する主体がなければ、空間も時間も存在しえないのである。
それとともに生物学は、結局カントの学説と結びつくことになった。
と著者は主張します。

また、クモの巣はハエを捕らえることに対して最適化された構造です。
しかし、クモは実物のハエに出会う前からこのハエ用の罠を仕掛けることができます。
このように、おのおのの種はある設計図により作製されますが、これは他の種との相関においてのみ意味をなすものです。
著者はこれを、オーケストラの各楽器の演者が組み合わさって1つの旋律が現れることに例えます。
そして、このオーケストラの作者こそが神であり、それゆえに生物が単なる機械であるという理論には真っ向から反対します。

これらが書かれた当時はアインシュタインによるエーテルの不存在証明も、遺伝子の発見も成されていませんでした。
そのため、現代から見ると明らかな間違いも散見されますが、当時の生態学で何が論争となっていたかを知るにはよい本だと思います。
ただ、内容が内容なだけにそれなりに込み入った文章ではありますが…。

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